【はじめに】
今回は、これまでいくつか紹介させて頂きました、孫子の教えを取りまとめ、(個人的ですが)名言集として、一覧を記載させて頂きます。取り上げている名言(教え)は、以下の17個です。
- 「兵は拙速を聞くも、未だ巧久しきを睹ざるなり」
- 「風林火山」
- 「迂直の計」
- 「百戦百勝は善の善なるものにあらず」
- 「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」
- 「人を致して人に致されず」
- 「囲師には必ずかく」
- 「正を以って合し、奇を以って勝つ」
- 「勝兵は鎰を以て銖を称るがごとく」
- 「先ずその愛する所を奪わば、即ち聴かん」
- 「善く戦う者は、これを勢に求めて、人に責めず」
- 「呉越同舟」
- 「軍を縻す」
- 「兵を形すの極は無形に至る」
- 「死地に陥れて然る後に生く」
- 「君命に受けざる所あり」
- 「爵禄百金を愛んで敵の情を知らざる者は不仁の至りなり」
以下に、サマリ版をまとめさせて頂くと同時に、日本の歴史に関連する武将や事象も含め、詳細をそれぞれのリンク先の別ページに記載していますので、そちらのページと合わせ、参照頂けますと幸いです。それでは、以下にまとめます!
①「兵は拙速を聞くも、未だ巧久しきを睹ざるなり」
・メッセージの個人的理解:
「戦は長期戦を想定するよりも、なるべく短期決戦を想定し、迅速に行動すべし」と言った感じでしょうか。もう少し、個人的な見解を踏まえるなら、「ダラダラ行動せず、決める時には、スパッと決める」といったところでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
豊臣秀吉の「中国大返し ⇒ 山崎の戦」、「美濃大返し」
・個人的な学び:
「ここが勝負所」と認識する力や、「本当に勝負する時に周囲から協力を得られるだけの人間力」と言ったものが、同時に必要なのでしょうが、これらと同様に、「勝負する時に拙速に行動できる力」が最も必要
②「風林火山」
・メッセージの個人的理解:
戦は勿論、普段の生活でも「メリハリをつけて動くことが重要」と言った感じでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
武田信玄の風林火山の軍旗
・個人的な学び:
「迂直の計」を遂行するための方法論として、風林火山の考えのもと行動する事が必要 (正確には、「風林火山」と言う言い回しは、孫子の中には無いようで、後の人がキャッチフレーズ的に創作したようです・・・)
③「迂直の計」
・メッセージの個人的理解:
「急がば、回れ」とは別で、もう少し戦略的で、「自身が達成したい目的を明確に決め、それを最短で実行するも、その目的や意図は秘匿し、もしくは情報操作し、相手を翻弄し、自身を有利な状態に導くことで、効率的に自身の達成したい目標を成し遂げる」と言ったところでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
「三方ヶ原の戦い」における「武田信玄の戦い方」
・個人的な学び:
最終的に成し遂げたい目的とその戦略の設定と、それを実現する為の相手に対する情報の出し入れの重要性(置かれた環境と相手の立場に立って思考する事の重要性)
④「百戦百勝は善の善なるものにあらず」
・メッセージの個人的理解:
「戦わないで勝った方が、戦って勝より、得だから」戦わないで勝つ事の重要性を説いていると同時に、そもそも「物理的な戦いになる前に、頭脳で戦う」と言った感じでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
・個人的な学び:
物理的戦闘は、あくまでも最終手段で、最終手段は、最終なので、その後はなく、最終手段を取った段階で、終わってしまう事/物が、数多くある事
⑤「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」
・メッセージの個人的理解:
「自軍の戦略や、Keyとなる人材の長所や短所、使える武器やお金等の情報は勿論、同じように敵の戦略や、人材、武器、お金等の情報を持っていれば、何度戦っても、負ける事は無い」と言った感じでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
徳川家康が、一般的に不利と言われる「関ケ原の戦い」にのぞんだ事(理由・背景)とその結果
・個人的な学び:
自身が意思決定をするための、相手方の情報収集と分析(相手を良く知る事)の重要性
⑥「人を致して人に致されず」
・メッセージの理解:
「自身が主導権をもって、事を有利に進める事が重要なので、そうなるように、万事準備して、進める必要がある」と言った感じでしょうか?
⑦「囲師には必ずかく」
・メッセージの個人的理解:
「窮地に追い込まれた相手に対しては、包囲するのでなく、逃げ道を残しておきましょう」と言った感じでしょうか?
⑧「正を以って合し、奇を以って勝つ」
・メッセージの個人的理解:
「正攻法だけでも、奇策だけでもダメで、基本は基本としてしっかり押さえ(正攻法)、その上で応用(奇策)をする事が必要で、また、その奇策(応用)もあくまでも正攻法(基本)をベースにものである事が必要」と言った感じでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
源義経が実践した、「鵯越の逆落とし」
・個人的な学び:
義経は自身の才能に飲み込まれてしまったかもしれないので、才能ある人が目の前に出てきた時には、出来るだけサポートすべき
⑨「勝兵は鎰を以て銖を称るがごとく」
・メッセージの個人的理解:
「戦をするのであれば、勝てるときに、誰もが勝てるように、安全に勝ちましょう」と言った感じでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
・個人的な学び:
「北条は滅亡、伊達は生延びる」から、時には長いものに巻かれることも必要 (北条氏の居城の小田原城と伊達家の居城仙台城については、別記事で紹介しています)
⑩「先ずその愛する所を奪わば、即ち聴かん」
・メッセージの個人的理解:
「相手の強みをたたけば、流れはこちらに来る(=流れをつかむ事の重要性)」と言った感じでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
・個人的な学び:
目には見えない「流れ」を、感度良く感じる事、流れの方向(追い風? / 逆風?)を理解する事は、難しいが、この流れを適切に感じ取り、それを活かす方法を考え出す事もまた才能で、非常に重要
武田勝頼 (Wikipedia より)
⑪「善く戦う者は、これを勢に求めて、人に責めず」
・メッセージの個人的理解:
「戦上手な者は、一人一人に、ガンバレ、と言うのでなく、組織全体に、”勢い”、を持たせることで、勝利を手繰り寄せられる人材」と言った感じでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
「河越夜戦」(「河越夜戦における戦いの経過」に付き勝手な個人的仮説も別記事で紹介しています)
・個人的な学び:
勢い(=波に乗る)と事の重要は理解できるが、更に重要なのは、「どうやって、”勢い”、に乗るのか?」が、一番の課題
⑫「呉越同舟」
・メッセージの個人的理解:
「互いに敵同士でも、それぞれが厳しい環境に置かれ、互いの利となる目的を共有できれば、協力し合う事が出来る」と言った感じでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
「薩長同盟」
・個人的な学び:
現在の政治の世界でも、ビジネスの世界でも同様の事象(「目的を共有すれば、うまくいくのに」と思える事象)が、散見されるが、「どうやって目的を共有して、行動のベクトルを合わせるのか」は更に難しい (正確には、「呉越同舟」と言う言い回しは、孫子の中には無いようで(言葉その物の言い回しは無い)、エピソードがあるのみの様です・・・)
⑬「軍を縻す」
・メッセージの個人的理解:
「君主はしっかりとエンパワーメントを行って、現場が最善の策と行動を、遂行できるようにしなければならない」と言った感じでしょうか?
⑭「兵を形すの極は無形に至る」
・メッセージの個人的理解:
「無敵の軍=形がない軍」と言った感じでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
織田信長の「桶狭間の戦い」
・個人的な学び:
自身が得る情報も、相手が得る(得ているかもしれない)情報も、どちらも重要性を強く認識する必要があり、こちらの情報を相手に知られない様にする事が肝要
⑮「死地に陥れて然る後に生く」
・メッセージの個人的理解:
「自軍の兵を逃げ場のない場所において、覚悟を決めさせる環境を作り、自軍の兵力を最大限に引き出すこと」と言った感じでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
毛利元就の「厳島の戦い」
・個人的な学び:
危機感をあおったり、死地に入れる事は、現代社会では、許されないので、「ここが勝負と思った時は、しっかりとした意思をもって行動する」ことを心掛ける
⑯「君命に受けざる所あり」
・メッセージの個人的理解:
「たとえ君主の命令であっても、受けては(実行しては)いけない命令がある」と言った感じでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
「両兵衛(りょうべえ=黒田官兵衛と竹中半兵衛)の逸話」(黒田官兵衛の嫡男、松寿丸(後の黒田長政)の処刑の指示が信長からあったが、竹中半兵衛が匿った)
・個人的な学び:
「君命に受けざる所あり」。確かに素晴らしい考え方だが、高い志と、強い信頼感がないと実行できない、難しい教え
⑰「爵禄百金を愛んで敵の情を知らざる者は不仁の至りなり」
・メッセージの個人的理解:
「戦には、莫大な費用が掛かっているのだから、それを成功に導くための情報を、お金を惜しんで、ないがしろにして、情報収集をを怠る事は、あってはならな事」と言った感じでしょうか?
・日本史に見られる実例(個人的見解):
「砥石城の戦い:砥石崩れ~砥石城の乗っ取り」(武田信玄が力攻めで、敗北を喫したが、真田幸隆は調略により、城を奪取した)
・個人的な学び:
戦国最強とも言われる信玄も、失敗から情報収集の必要性を学んだかもしれないと思うと、情報収集の大切さと同時に、失敗から学ぶことの重要でも必要
【最後に】
以上になります。 ”孫子”に関しては、Wikipedia の力を借りますと以下の様にあります。
”『孫子』(そんし)は、紀元前500年ごろの中国春秋時代の軍事思想家孫武の作とされる兵法書。武経七書の一つ。古今東西の兵法書のうち最も著名なものの一つである。紀元前5世紀中頃から紀元前4世紀中頃あたりに成立したと推定されている。”、
https://ja.wikipedia.org/wiki/孫子_(書物)
2500年も前の兵法書で、古典の中の古典と言う事でしょうか? 勿論、現代版のものしか、私には読む事は出来ませんが、「端的でシンプルな文章は、読む側の状況に応じて、理解し、考えを巡らせる為のベースとなる、原理原則が書かれた書物」、と言った認識を個人的に持っております。個人的な理解や、学びを記載させて頂きましたが、皆様も皆様なりの理解をしてみるもの楽しみ方の1つでないかと思った次第です。詳細をそれぞれ別ページに記載していますので、参考になれば幸いです。