【はじめに:玉川上水の基本情報】
こちらの記事では、玉川上水の⑤暗渠入口~玉川上水水番所跡(新宿御苑付近)間の大人散策情報を紹介致します。
本ブロブでは、⓪玉川上水の概要/基本情報(抜粋版見所情報)、①羽村堰~拝島駅、②拝島駅~玉川上水駅、③玉川上水駅~小金井公園、④小金井公園~暗渠入口、⑤暗渠入口~玉川上水水番所跡(新宿御苑付近)をそれぞれ記載していますので、皆様のニーズに合わせそれぞれのページにて詳細ご確認頂きたいのですが、こちらのページでは、⑤暗渠入口~玉川上水水番所跡(新宿御苑付近)間に絞って記載いたします。
そもそも玉川上水は、皆様ご承知の通り、江戸に幕府が開かれてから、急速に人口が増えた江戸の街に、有名なところでは、神田上水等により何とか補っていた水の確保が更に必要になり、江戸時代の初め東京の西にある羽村から多摩川の水を江戸市中に引き込むために作られた人口の用水路ですよね。
そんな玉川上水に関連する話は色々とあると思います。「奇跡の勾配」と言われる2パーミルの勾配、「水喰らい土」と呼ばれれる関東ローム層の地質、江戸市中だけなく、「野火止用水」として、現在の埼玉(新座・志木)にも水を共有した(別記事にて、野火止用水の散策情報も記載しています)、等々・・・、色々な話があります。これらの情報は、⓪玉川上水の概要/基本情報(抜粋版見所情報)にて記載していますので、そちらをご覧いただき、こちらの記事では、⑤暗渠入口~玉川上水水番所跡(新宿御苑付近)間の大人散策情報を以下に紹介して参ります。
【大人散策(散歩)には、最適なコース “玉川上水”】
今回ご紹介するコースの総距離は、15㎞弱の行程になると思われ、若干長めのコース設定になっています。京王井の頭線の富士見ヶ丘駅から前回のいったん終了にした、玉川上水の暗渠入口まで行き、そこから散策をスタートし、ほとんどが暗渠区間ですが、玉川上水の流路沿いに下流に向かって歩を進め、新宿御苑の北東の四谷大木戸付近にある「玉川上水水番所跡」に向かうコースです(玉川上水水番所跡からは、新宿御苑駅・四谷三丁目駅が最寄りになると思いますが、新宿駅・新宿三丁目駅も充分徒歩圏内ですので、皆様の状況に合わせ、帰路はご選択ください)。
若干長めのコース設定のになりますが、基本京王線とほぼ並行しての道のりになります為、皆様の体力・体調に合わせ、コース設定(途中終了含め)頂ければと思います。
では、前回一旦終了した玉川上水暗渠入口から、大人散策開始とさせて頂きます。
・第六天神社
玉川上水の暗渠入口から、玉川上水の流れに沿って下流に行きたいのですが、暗渠で流れが見えません為、中央道の高架に沿って、左の歩道を(中央道の高架を右上に見つつ)進むと、第六天神社が出てきます。玉川上水を感じる事が出来ない区間ですので、一旦こちらで気持ちを整え、玉川上水の大人散策を開始したいと思います。
・玉川上水流路跡入口 / 鎌倉街道(旭橋)を横断
玉川上水の暗渠入口から、上記、第六天神社を過ぎこの玉川上水の流路跡入口(上北沢駅入口の信号付近)まで、2.5㎞前後は、玉川上水の痕跡を見つける事は難しいですが、上北沢駅入口の信号付近で、新宿方面を向いて左に、玉川上水の流路跡とはっきりわかる緑道が始まっています。そしてその緑道に入り、最初に渡る道が、本ブログで何度も何度も登場する「鎌倉街道」です。
本ブログで同じく玉川上水の大人散策情報を提供した「③玉川上水駅~花小金井間の記事」の中で「鎌倉橋」を紹介し、この橋は位置関係から「鎌倉街道上道」である可能性を記載しましたが、こちらの鎌倉街道は、上道・中道・下道のいづれのルートからかけ離れている様です。なぜ鎌倉街道と言う名称なのか不明のままですが、「どこにでも出てくる鎌倉街道」と言う事で、意識はしつつも深く考えない様にし、歩を進める事にします。
・緑の続く遊歩道の公園とそこから感じる高低差
鎌倉街道を越え、そのまま歩を進めますが、この付近の玉川上水流路跡は、明大前駅付近まで、整備された公園と遊歩道がつながっており、玉川上水の流れは確認できません。時折オブジェや若干、昭和を感じさせる遊具が出てきて、散策には良いですが、中々大人散策とはいかない感じです。
しかし唯一大人散策を感じさせてくれるのは、「高低差を感じる事」です。この付近は、基本南側に甲州街道が、時には並走し、時にはちょっと離れた所を走っておりますが、北側は神田川(神田上水)が流れており、「神田川と玉川上水のかなりの高低差」を感じる事が出来ます。また、所々にかつて玉川上水の流れを越えていたと思われる橋も残されており、一緒とはいかないまでも、玉川上水の流れその物になった気分で橋を見ると、「流れと地上面の高低差」も感じる事が出来ます。そんな見方で流路跡の遊歩道と公園を、2-3㎞程進んでいくと、明大前駅付近の井の頭線にぶつかります。
・明大前駅の手前には、玉川上水の土手と思われる段差があり、現甲州街道が、玉川上水の水面付近である事が想像できる
・地図は、地理院の地図を自身で標高設定して作成、茶色部分の現甲州街道付近の高台に玉川上水の流路もある
・玉川上水が井の頭線を越えるポイント
明大前付近までくると、遊歩道は井の頭線を越えるべく、少し北側に進路を変えつつ上り坂を進む形になります。そしてそのまま歩を進めると、井の頭線を越え、東京都水道局 和泉水圧調整所を過ぎ、再び甲州街道と合流する形になるのですが、ここで玉川上水も井の頭線を越えるべく設置された「鋼管」を見る事が出来ます。江戸時代にはない光景ですが、大きく太い鋼管は大きく、見応えのある姿ですので、是非脚を停めてご覧ください。
・暗渠化を逃れたポイント
明大前を過ぎ、更に甲州街道を新宿方面に進むと、甲州街道の南側(新宿を向いて右手)に、玉川上水が顔を出してくれるポイントが出てきます。
この代田橋駅・笹塚駅付近の2㎞弱の区間は、部分的に暗渠化を逃れたポイントで、玉川上水の流れを見る事が出来ます。甲州街道沿いの玉川入水の流れが見えたポイントから狭いですが、流れに沿って歩道が代田橋駅をくぐる形で続いており、駅の反対側に出る事が出来ます。しかしまた暗渠化されてしまいますが、環七通りも地下道でくぐれる形になっていますので、探検気分で散策を続けると、再び流れが顔を出してくれます。
環七をくぐると緑道が続きますが、再び玉川上水の流れが顔をだしてくれます
その流れを見つつ、笹塚駅方面に歩を進め、笹塚駅の所で、南に流れが変わります。その先で、みたび流れが顔を出してくれますので、変化を楽しみつつ、そしてこの辺りは、高さをKeepするため流路を蛇行させつつ流れが進んでいる事を楽しみつつ歩を進められてはいかがかと存じます。
・三田用水 取水口跡
笹塚駅の先、玉川上水の流れが顔を出したポイントを更に進むと、「三田用水 取水口跡」が出てきます。江戸の六上水の1つ、三田用水は、玉川上水からの分水を受けている事を再認識させられるポイントです。
この三田用水の先は、再度暗渠化された区間になりますので、玉川上水の流れとはここでお別れとなり、緑道を進んで行く事になります。
・谷を避け蛇行する玉川上水
三田用水の取水口を過ぎ、少し進むと玉川上水の流れが、急に北側(甲州街道側)に蛇行していくポイントがあります。
基本玉川上水は、暗渠化された高井戸近辺から、甲州街道と歩調を合わせる様に流れてきましたが、代田橋駅付近で、流れを南に向け、一旦北側に進路を向け甲州街道に近寄ったかと思ったら、笹塚駅付近で、改めて流れを南に変え、そしてこのポイントで再度北側(甲州街道側)に流れを変えるのです。
この蛇行の理由お解りですよね。地図をご覧頂くと一目瞭然です。「谷を避け、出来る限り高さをKeepしようとしている」以外の理由は無いと思います。特にこの先の初台付近では、谷の頂点すれすれを通っている事が分かり、正に針の穴を通す様な流路である事、ご理解頂けるの出ないかと思います。
谷の頂点の所にキンモクセイの並木(玉川上水の流路)があり、キンモクセイ並木の両端は一段高くなっている
・埋もれた橋の欄干
少々話を戻し、上記三田用水の取水口の先、流路を南側(甲州街道側)に戻すポイントからですが、この付近から、橋の名前・跡は残っていますが、明大前の流路にあった橋跡とは違い、橋の高低差を感じる事は出来ません。ほとんどの橋が、周囲の道路や遊歩道の高さと同じになっているのです。それはそれで、少々悲しい感じはありますが、「橋があった」=「玉川上水が流れていた」と理解し、イマジネーションを広げつつ、散策を進めるのが、大人散策だと思った次第です。
・玉川上水のモニュメント
笹塚・幡ヶ谷・初台と、蛇行する流路や埋もれた橋を観察しつつ歩を進め、再び甲州街道と合流するポイント(文化学園大学の前)に、「玉川上水のモニュメント」がございます。新宿駅は目の前で、改めて玉川上水の痕跡を振返るポイントだと思います。
・新宿御苑前の遊歩道
上記、モニュメントからは、新宿駅を目指します。甲州街道を進んでも良いと思いますが、人通りも多いので、甲州街道の一本南の葵通りを進んでも良い気がします。こちらが玉川上水の流路の様な気もしていますので…。
程なく新宿駅にぶつかりますので、ここは素直に現在の甲州街道を通り、線路と新宿四丁目の交差点を越えたら、新宿トンネルの南側の側道に入ります。するとすぐに、新宿御苑の新宿門に出ます。この新宿門付近から四谷大木戸門にかけて、新宿御苑に北側を遊歩道があり、水量は少ないですが、水の流れを楽しみつつ、木々の中を散策できます(結構な大木もあります!)。
また、旧新宿門衛所、大木戸門衛所の歴史ある建物や、貫録のある門と言った文化的な側面でも楽しめる道ですので、ゆったりと大人散策されてはいかがかと思います。
・玉川上水水番所跡
新宿御苑北側の遊歩道を抜け、新宿御苑の大木戸門を過ぎると、ゴールの玉川上水水番所跡は目の前です。
このゴールの玉川上水水番所跡からは、江戸の六上水の1つ、青山上水にも分水していたようです。改めて振返ってみますと、江戸の六上水の内、千川上水・三田上水・青山上水は、やはり江戸の六上水の1つ玉川上水から分水を受けていたとなると、玉川上水自身も含め、4/6は、玉川上水から来ていた事になります(あとの2つの上水は、神田上水と本所上水)。こう考えると、現在、玉川上水水番所跡には、当時をしのばせる痕跡はほとんどございませんが、羽村堰からよくぞここまで水を通し、江戸の街のみならず、武蔵野の台地全体の発展に大きく貢献した玉川上水の大人散策を振返るには、この場所しかないと思った次第です。
ちなみに、この玉川上水の水番所のすぐ隣が、別記事でも紹介しております「四谷大木戸」の跡になります。江戸の時代、「人も水も、西から江戸を目指すルートは、ここを目指していたんだなー」と思ってしまった次第です。
【最後に】
以上が、玉川上水の「⑤暗渠入口~新宿駅間」の大人散策情報の紹介になります。
学生時代、武蔵小金井付近に住んでいた事もあり、玉川上水は、自然を感じる事が出来るお気に入りの場所で、川越に移ってからも、玉川上水沿いの散策は、何度もさせて、お気に入りの場所です。東京の中にあって、自然をこれほどの距離にわたって、感じられる散策路はほかにあまりないと思っています(勝手に思っているだけかもしれませんが・・・)。
「自然や文化」を感じながら、また玉川上水の「水の流れとそこに生きてきた人達の営みや困難を克服する創意工夫」を感じる事が出来る、大人散策には、うってつけの場所だと信じています。
別記事にて、⓪玉川上水の概要/基本情報(抜粋版見所情報)、①羽村堰~拝島駅、②拝島駅~玉川上水駅、③玉川上水駅~小金井公園、④小金井公園~暗渠入口、⑤暗渠入口~玉川上水水番所跡(新宿御苑付近)、に付きそれぞれ大人散策情報を記載いたしますので、是非皆様も玉川上水の歴史に思いをはせつつ、自然を感じつつ、大人散策してみてはいかがでしょうか?
また、玉川上水駅付近で、玉川上水から分岐している、野火止用水沿いを、志木まで2回に分けて実施した大人散策の情報も共有させて頂いておりますので、宜しければ併せてご参照ください。
以下、Googleマイプレイス(マイマップ)で作成した地図を、アプリ・GogleMpsで、位置情報をONにしてスマホでご利用頂くと、紹介したスポットを、自身の位置確認しつつ大人散策する事が出来ます!