熊本

【はじめに:熊本にあるが、加藤家でなく、細川家が作った水前寺成趣園】

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本日は、「熊本県・熊本市にある『芝の富士』と『阿蘇の水でできた琵琶湖』を仰ぐ『水前寺成趣園』をご紹介」致します

📚本記事で得られる情報📚
水前寺成趣園概要・歴史
水前寺成趣園魅力・見所
水前寺成趣園における楽しみ方の切口

(本記事にて使用している写真は、2016年の熊本地震の前年、2015年に撮影したものです)

庭園好きの私達夫婦ですが、松は栗林公園」・「芝は水前寺成趣園」のイメージを昔方強く持っており、訪問させて頂く事が長年の悲願でした。中々機会に恵まれず、訪問する事が出来なかったのですが、当時運よく宿泊が必要な出張が入り、朝早起きしたり、熊本市街地と空港との移動を工夫したりしつつ、別記事で紹介しました熊本城と共にお邪魔させて頂いた次第です(上記写真は、自身でつなぎ合わせ作成していますので、おかしな部分があります事、ご了承ください)。

個人的な印象として、熊本と言えば「熊本城」と「加藤清正」。しかし、こちらの庭園に、清正公の像は見当たりません…。代わりに、と言っては何ですが「細川氏の像」があります熊本城の記事でも記載しましたが、加藤家が熊本を治めていたのは、1600年代初めの30年程熊本城を築城したのは、加藤清正ですし、熊本の名付け親も加藤清正(その前は、隈本と言ったらしいです…)。しかし、加藤家の統治の後、江戸が終わるまで熊本を治めたのは、細川家。つまり、「水前寺成趣園を作庭したのも細川家」になるそうです

こちらのページでは、そんな「加藤家ではなく、細川家由来の水前寺成趣園」を紹介致します。すなわち、「熊本県・熊本市にある『芝の富士』と『阿蘇の水でできた琵琶湖』を仰ぐ『水前寺成趣園』をご紹介致します。

【水前寺城趣園の概要】

上記の様な、個人的なイメージを持つ「水前寺成趣園」ですが、Wikipedia には、以下の様にあります。

水前寺成趣園(すいぜんじじょうじゅえん)は、熊本県熊本市中央区にある大名庭園熊本藩主の細川氏により江戸時代に造営された。通称は水前寺公園。面積約7万3000平方メートル。園内には築山やそれに続く平坦地があり、それぞれ富士山や東海道の景勝地を模しているという説がある

歴史
『細川家文書』によると、熊本藩主としての細川氏では初代の細川忠利が寛永13年(1636年)11月に国分の御茶屋の作事を行ったのが始まりとされる (略) 忠利の肥後入国時には、旧領の豊州耶馬渓の羅漢寺の僧・玄宅が随従しており、玄宅のために堂宇を建立し、これが「水前寺」と呼ばれるようになった (略) 水前寺は寛文5年(1665年)ごろの第二世の斧山のときに廃寺となり (略) 熊本藩により没収となった (略)
細川綱利の代になると新たな御茶屋を設けた大規模な作庭が行われ (略) 寛文10年(1670年)から寛文11年(1671年)にかけて水前寺御普請が進められた (略) 完成した桃山式の回遊式庭園には、陶淵明の詩『帰去来辞』の一節「園日渉以成趣」から「成趣園」と名付けられた (略)

明治時代の廃藩置県後に官有となったが、1877年(明治10年)の西南戦争で御茶屋「酔月亭」は焼失し、園内も荒廃した。官有地だったため当初はどうすることもできなかったが、旧藩士らの有志は払い下げを求めることとし、1878年(明治11年)に出水神社を園内に創建し、庭園を出水神社の社地として払い下げを受けることに成功した。
1912年(大正元年)には酔月亭の跡地に「古今伝授の間」(後述)が移築された (略) 1929年(昭和4年)12月17日には「水前寺成趣園」として、国の名勝および国の史跡に指定された。

園内:古今伝授の間
織豊政権に仕えて栄達して近世細川家の祖となった、忠利の祖父・細川藤孝(幽斎)が後陽成天皇の弟・八条宮(桂宮)智仁親王に『古今和歌集』の奥義を伝授したといわれる建物。当初は八条宮の本邸にあったが、長岡天満宮に移されて「長岡の御茶屋」と呼ばれていた。明治期に山本彦市の所有となり大阪の倉庫で保管され、後に細川家に贈られたものである (略)

https://ja.wikipedia.org/wiki/水前寺成趣園

つまり、

『「水前寺成趣園」は、「加藤家ではなく細川家」によって、江戸初期~中期に入るくらいのタイミングで、「富士山や東海道の景勝地を模して策定された」とも言われる庭園で、明治期に「出水神社」を園内に創建し、旧藩士からなる有志が、その庭園を「出水神社の社地」として払い下げを受けることに成功し、大正初期には「古今伝授の間(細川藤孝(幽斎)が、後陽成天皇の弟・八条宮(桂宮)智仁親王に “古今和歌集” の奥義を伝授したといわれる建物)」が移築され、昭和の初め頃に「水前寺成趣園」として、国の名勝および国の史跡に指定された「回遊式の大名庭園」が、「水前寺成趣園」

と理解した次第です。

【東海道と琵琶湖をモチーフとしたと言われる、芸術性の高い庭園・水前寺成趣園】

上記引用、また以下の現地説明看板の写真にもありますが、水前寺成趣園は、熊本藩細川家、初代藩主の細川忠利が、1636年に作庭を開始し、孫の3代目藩主、細川綱利の時(1671年)に、ほぼ今の形になったとの事。故に350年間、今と同じような庭園が受け継がれている事になります。350年前に、これだけ写実的な庭園を造った事は、本当に驚かされます。宗教的思想に元ずく要素を色濃く残す日本庭園が多い中、熊本にありながら「琵琶湖」や「東海道」をモチーフに作庭する発想は、中々出てこないと思いますし(まっ、ある意味琵琶湖富士山も宗教的要素の強い湖・山だったことは確かですが…)、芝をこれだけふんだんに使って、芸術性の高いお庭に仕上がっている事にも驚きを隠せません。

本当に芸術作品と言うべき、庭園だと個人的には思って折り、この庭園を構想した細川家の格式を感じてしまう庭園だと思っている次第で、水前寺成趣園に脚を運ぶ際には、『琵琶湖」や「東海道」をモチーフに作庭された「写実的な庭園」を、芸術作品の視点でも堪能して頂きたい!』と個人的には思っている次第です。しかし、ただ一点…。山梨県北杜市の出身者として、あえて申し上げるのであれば、「富士山山梨県側からの富士をイメージしてほしかった…」と言う事ぐらいです…。

水前寺成趣庭園の様子 入口・細川氏銅像・説明文 園内にある出水神社

【阿蘇の伏流水を活かした庭園・水前寺成趣園】

『「琵琶湖」や「東海道」をモチーフに作庭されたと言われる「水前寺成趣園」』ですが、そんな水前寺成趣園のもう一つの特徴は「水が非常に綺麗」と言う事阿蘇の伏流水が湧き出していて、綺麗な水が絶えず循環しているから」らしいです。「火の国・熊本」なんていいますが、「熊本は水の国」でもあるんですね…。

阿蘇山は、大規模な噴火を何度も起こしており、それよって発生した「火砕流」が、「いくつもの層」になっているらしく、「この層にそって水が流れてくるので、市内にも綺麗な水が大量に湧いている」との事。池には、錦鯉が沢山いるのですが、水が綺麗なせいか、生き活きと泳いでいる様に見えますし、色も鮮やかに見えます。恐らくこれは、”気がする” のではなく、「本当に綺麗な水のおかげで、池の鯉も元気なんだろう!」と思ってしまった感じです…。

そしてこの池、上記の通りですが「琵琶湖をイメージして配置された池」と言う事らしいので、「水前寺成趣園の池は、阿蘇の伏流水で琵琶湖を模した池;阿蘇と琵琶湖のコラボ…」という事になると理解した次第です…。地上視点では、熊本からも、琵琶湖からも、富士山は見えませんが、『阿蘇の伏流水を利用し、琵琶湖に見立てた美しい池を「鳥観図のイメージ」で楽しむべき』と思った次第です…。

水前寺成趣庭園の池泉の様子

【管理が行き届いた芝の富士を望む庭園・水前寺成趣園】

上記、水が非常に綺麗」なのが、「水前寺成趣園の特徴に一つ」と記載しましたが、更にもう一つの特徴と思われ、個人的に心を奪われたのが「美しく手入れされた芝芝は刈り込まれ、非常に綺麗な状態を保っています。この手入れされた芝があるからこそ「水前寺成趣園の富士」の美しさが際立つんだろうと、強く思ってしまいました

我が家にも、わずかばかりの芝庭があるのですが、これは本当にお手入れが大変。季節になると、2~3週間に1回は刈り込まないとなりません…。その事を考えると、いくら仕事と言え、これだけの大きな庭園である「水前寺成趣園の芝」、しかも平らではない「芝の富士」を、これだけ綺麗に保っているのは敬服してしまいます。本ブログ別記事で紹介しました、芝が美しい「岡山後楽園」でも同様の事を感じましたが、「関係者のこの庭園に対する愛情」があればこそ、ここまで綺麗な状態を保っているんだろうと思います。しかも、350年間も…。庭園が作庭された最初の頃から芝が張られていたのか、それともあるタイミングから芝になったのかは、正直わかりませんが、仮に「機械もない時代に芝の刈り込みをしなければならない」となると、これは本当に「関係者の愛情」がないと成しえない事と思ってしまう次第ですので、水前寺成趣園を見学させて頂く際には、「美しく刈り込まれた芝」に関しても「関係者の愛情」を感じつつ楽しむべきだと思ってしまった感じです。

水前寺成趣庭園の芝の富士の様子

【最後に】

以上が、「熊本県・熊本市にある『芝の富士』と『阿蘇の水でできた琵琶湖』を仰ぐ『水前寺成趣園』をご紹介申し上げた内容になります。

これだけの規模の庭園で、これだけの芝が植えられ、且つ常に美しい状態を保っている「水前寺成就園」。九州・熊本にありますが、「琵琶湖」「東海道」をモチーフにしたした、ユニークな特色を持つ「水前寺成就園」「関係者の愛情」が受け継がれてきた「芝の富士」が魅力で、「阿蘇の伏流水」のそそぐ池に色つやの美しいに錦鯉が泳ぐ「水前寺成趣園」こんな魅力的な「水前寺成趣園」に、皆さまも脚を運び、芸術鑑賞をするがごとく「庭園の大人散策」を楽しんでみてはいかがでしょうか? 「水前寺成趣園」は、それが可能な庭園だと信じて折りますので!

下記、水前寺成趣庭園全景のもとの写真

尚本ブログでは、東京旧古河庭園東京椿山荘神戸相楽園京都無鄰菴高松栗林公園熊本水前寺成就園山梨恵林寺庭園甲府常磐ホテルの庭園平泉毛越寺庭園名古屋徳川園二条城二の丸庭園川越喜多院の紅葉山庭園/中院の庭園熱海の起雲閣旧芝離宮恩賜庭園小石川後楽園清澄庭園浜離宮六義園新宿御苑日本三名園金沢兼六園岡山後楽園偕楽園等、全国各地の庭園も紹介しており、「日本庭園のカテゴリ分け(庭園分類)」に関しても記載しております(更新中あり)ので、下記一覧表をご活用いただき、ご参照頂けますと幸いです。

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