起雲閣

【はじめに:起雲閣の基本情報】

こちらのページでは、熱海にある起雲閣をご紹介致します。起雲閣は、近代建築と庭園を、文学の香りを感じつつ、大人散策できるスポットなのです

こちらの施設を知ったのは、NHKの朝ドラの中で、こちらの施設が使われたシーンを見た際。「こんな素敵な場所、何処なんだ?」と思い、調べたのが始まりです。その後、熱海+伊豆半島の旅を企画し、起雲閣だけではありませんが、こちらを最重要スポットに、旅のルートをを計画しました。ところが、何とタイミング悪く(年末のタイミング)、訪問する事は出来ませんでした。

勿論、熱海は、別記事で紹介しました通り、「ときわぎ」や「来宮神社」、「熱海七湯」といった見所もあり、大人散策には魅力的な街で、起雲閣にお邪魔できませんでしたが、楽しむ事は出来ました。しかし、やはり起雲閣への訪問はあきらめきれず、改めて別の機会にお邪魔した次第です。

そんな起雲閣、まずは概要を抑えるべく、Wikipediaを調べてみますと、以下の様にあります。

起雲閣(きうんかく)は静岡県熱海市昭和町4-2にある近代建築熱海市指定有形文化財。1919年(大正8年)に建築。元は実業家根津嘉一郎、農商相・内田信也の別邸であった後に日本観光株式会社が取得し旅館として営業していたが2000年(平成12年)に日本観光が自己破産、以降は熱海市所有の観光施設となっている。日本近代建築の特徴を備えており、暖炉やガラスの採光、そしてローマ風呂といった大正時代以降のモダンな建築様式が残っている。新藤兼人・乙羽信子などが建物を活かした映画撮影を行い、旧き良き時代を演出している (略)  

https://ja.wikipedia.org/wiki/起雲閣

また、現在の所有者である熱海市の起雲閣のページには、以下の様にあります。

1919(大正8)年に別荘として築かれ、非公開の岩崎別荘、今はなき住友別荘とならび、熱海の三大別荘」と賞賛された名邸が基となる起雲閣。1947(昭和22年)に旅館として生まれ変わり、熱海を代表する宿として数多く宿泊客を迎え、山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰治、舟橋聖一、武田泰淳など、日本を代表する文豪たちにも愛されてきました (略) 

https://www.city.atami.lg.jp/kiunkaku/index.html

根津嘉一郎と言えば、私の地元、山梨出身の鉄道王。何のかかわりもありませんが、同郷と言うだけで、親近感が沸いてきてしまうのが、山梨県民。故に、ひいき目で見てしまう可能性はありますが、それを差し引いても、「行って良かった!」、「こんな素晴らしいい建物と気品ある庭園、そして文学の香りがする空間は、是非皆様にもおすすめしたい!」と思える施設でした。

そんな、現在では熱海市所有の観光施設「起雲閣」を以下に紹介致します。

【起雲閣の変遷】

起雲閣は、これまで所有者が、以下の様に変遷している様です(熱海市の起雲閣のHP(https://www.city.atami.lg.jp/kiunkaku/index.html)より)。

・内田信也時代 1918(大正7)年~1925(大正14)年 

別邸として利用していたようで、「麒麟・大鳳の棟」、「孔雀の棟」がこの時代の建物との事です。

・根津嘉一郎時代 1925(大正14)年~1944(昭和19)年 

こちらも別邸として利用していたとの事で、「金剛・ローマ風浴室の棟」、「玉姫・玉渓の棟」がこの時代の建物になる様です。

・桜井兵五郎時代 1947(昭和22)年~1999(平成11)年 

この時代は、旅館(起雲閣)として利用されていたとの事で、「初霜・春風・有明の棟」(現在は展示室)、現在の企画展示室の棟など、上記以外の建物を建てた様です。また、この旅館の時代に、多くの文人が宿泊されている様で、現在、展示室には、著名な小説家の痕跡を拝見する事が出来ます。

・熱海市所有 2000(平成12)年~ 

桜井氏の後、熱海市が所有者となり、観光施設として利用を開始し、現在に至っているとの事でした。

上記の様な変遷で現在に至っている起雲閣。いわゆる「一流の近代建築」を拝見出来ない訳がないと思ってしまったしまいです。そんな起雲閣を、以下、実際に回らせて頂きましたルート(建物内を右回りで進み、最後に庭園を拝見する流れ)で、ご紹介致します。尚、基本情報は、熱海市の起雲閣のHP(https://www.city.atami.lg.jp/kiunkaku/index.html)を参考にさせて頂いております。

【起雲閣を大人散策!】

・表門・蔵

起雲閣のエントランスにふさわしい、格式を感じさせる門で、1919年(内田氏時代)に作られた「薬師門」と言うそうです。「薬医門は、鎌倉時代末期・室町時代初期の武家または公家の屋敷などに現れた門形式のひとつで、後に城郭や寺社などにも使われるようになった」、と起雲閣のHPには説明がございます。また、その門をくぐり、フロント近くまで行くとがあります。こちらの蔵は、内田氏時代よりも前に存在していた蔵との事ですので、「この敷地内で最も古い建造物」と理解致しました。

・「麒麟・大鳳の棟」

麒麟・大鳳の棟」は、内田氏時代の建物で、「内田氏の実母の静養場所として建てた別荘」との事大正時代の建物になるででしょうから、ガラスもその時代の物で、現代の物と違い「景色がゆがんで見える」もので、味わい深く、歴史を感じるものです。また、壁の色が、青(群青?)色に塗られており、独創性を感じる事が出来ます。加賀の青漆喰」と言う石川県加賀地方の伝統的な技法との事で、旅館時代の桜井氏が、石川県の出身であった為に、取り入れられたとの事です。また、2階は「大鵬」の座敷と言うようですが、ここには太宰治(玉川上水の大人散策情報を記載しています)が宿泊したらしく、歴史と文化と文学を感じる空間になっており、2階からの庭園の景色と共に楽しみたい空間になっています。

・「玉姫・玉渓の棟」

玉姫・玉渓の棟」は、根津氏時代の建物で、日本人らしく様々な様式を取り込んだ折衷系の建物・装飾になっています。特に個人的に面白いと思ったのは、「玉姫」のダイニングテーブルの上の天井が、別期記事でも紹介しました、名古屋城の本丸御殿熊本城の本丸御殿で、殿様のいらっしゃる上段の間と同じく、「折上格天上」になっている部分です。こんな折衷な感じにしても、全くおかしくなく、逆に豪華さを演出している感じで、ドラマや映画の撮影で使われる事も納得してしまう印象を持ちました。

また、「玉姫」の隣には、床はタイル張りで、ガラス屋根、窓のはステンドグラスをあしらった、「サンルーム」がありますので、併せて見学ただくと、「折衷の面白さ」を実感いただけるのでないかと思います。

そして「玉渓」のリビング。こちらのHPには、以下の様にあります。

玉渓は中世英国の「チューダー様式」に「名栗仕上げ」を取り入れたヨーロッパの山荘風の造りになっています。しかし、暖炉の覆いにはサンスクリット語の飾り、入口の天井には茶室のように竹が用いられるなど、独特の空間となっています”  

https://www.city.atami.lg.jp/kiunkaku/index.html

「玉姫」同様、「折衷の面白さ」を感じる空間を楽しむ事が出来ます。

・現在は展示室の「初霜・春風・有明の棟」

こちらの初霜・春風・有明の棟」は、桜井氏の旅館時代の建物との事で、現在は展示室となっており、(常設なのか、期間ごとに変更するのか不明ですが)お伺いした際は、坪内逍遥・尾崎紅葉の展示がされていました。私自身、文学マニアと言うほどではありませんが、ここまで有名であれば、勿論存じ上げております。故に、日本人の多くが知っている彼らの足跡を感じる事が出来る空間になっていますので、少し脚を停めて、文学の香りを感じてみてはいかがでしょうか?

・「金剛・ローマ風浴室の棟」

こちらの金剛・ローマ風浴室の棟」、根津氏時代の建物との事です。こちらも「玉姫・玉渓の棟」同様、豪華さを感じる部屋と浴室ですが、「貝で細工(螺鈿(らでん)細工)したトランプの模様(スペード、ハート、ダイヤ、クラブ)や、浴室のテラコッタ製の蛇口、木製タイルの床は、懐かしさや遊び心、快適さの追求と言った意思を感じる空間」だと認識しました。同時に、細やかな気配りと素材、スペース的にもあまりにも贅沢な作りに、「よくぞこれだけの財を費やしたものだ…」と思ってしまいました。ちなみにこの空間は、映画の撮影にも利用されたとの事です。

・(企画)展示室 (旅館時代は大浴場?)

「金剛・ローマ風浴室の棟」の隣は、旅館時代の大浴場と思われるエリアになります。大きな大浴場とは言えないかもしれませんが、これまで私達夫婦が宿泊させて頂きました温泉旅館の多くの大浴場と比べ、申し訳ございませんが、それ以上に上質な空間と認識でき、昔あったこちらのお宿の格式を感じる事が出来る空間だと思いました。

・「孔雀の棟」

孔雀の棟」は、内田氏時代に完成した別荘の一部になる建物だそうです。廊下に囲まれ、床の間と付け書院のあるその空間は、懐かしさも感じる建物ですが、弁柄色(?)に塗られた壁は、上質な空間を演出しており、庭の景色とセットで楽しみたい(できれば宿泊してみたい)居心地の良い空間になっています。尚、こちら「孔雀の棟」では、舟橋聖一が、「雪夫人絵図」を執筆したと言われているそうです。

・「庭園」

起雲閣は、上記紹介致しましたそれぞれの建物が、お庭を囲むように配置されており、中央の庭園は、それぞれの部屋からそれぞれの顔を見せてくれます。逆の言い方をしますと、庭園に脚を運ぶと、手入れされた芝・植栽と格式高いそれぞれの建物の外観をセットで楽しむ事が出来る空間になっています。園内は、歩きやすく整備されており、様々な角度から様々な庭園の様子を様々な建物とセットで楽しむ事が出来、非常に贅沢な雰囲気を感じる事が出来、大人散策にはうってつけの空間になっていると思います。

尚本ブログでは、東京旧古河庭園東京椿山荘神戸相楽園京都無鄰菴高松栗林公園熊本水前寺成就園山梨恵林寺庭園甲府常磐ホテルの庭園平泉毛越寺庭園名古屋徳川園二条城二の丸庭園川越喜多院の紅葉山庭園/中院の庭園熱海の起雲閣旧芝離宮恩賜庭園小石川後楽園清澄庭園浜離宮六義園新宿御苑日本三名園金沢兼六園岡山後楽園偕楽園等、全国各地の庭園も紹介しており、「日本庭園のカテゴリ分け(庭園分類)」に関しても記載しております(更新中あり)ので、下記一覧表をご活用いただき、ご参照頂けますと幸いです。

【最後に】

以上が、『「起雲閣」での、近代建築と庭園を文学の香りを感じつつ、大人散策するための情報提供』になります。

もし今、こちらが旅館として経営を継続されていたら、「どんなに良い旅館だったんだろう」と思ってしまうと同時に、「高すぎて泊まれないかな」とも思ってしまいました。逆の言い方をすると、幸か不幸か、熱海市の所有になり、(金額的にも)気軽に、これだけの上質なで興味深い建物と庭園を楽しむ事が出来る施設になっている事、個人としてはありがたいと思った次第です。

別記事にて、熱海の大人散策情報や、近くの小田原湯河原/真鶴の大人散策情報、伊豆半島の大人散策情報(準備中)も記載していますので、この地域に脚を運ばれた際には、併せて大人散策を楽しんで頂ければ幸いと思います

以下地図は、Googleマイマップで作成した地図で、熱海の大人散策情報とセットで記載しております。

TOP Pageへ or ブログ内関連情報タグ一覧へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA