天王山

【はじめに:天王山と聞いて連想する事】

先日、本ブログ内の別記事で、”分水嶺”なる言葉を使って、地形的な観点と人の意思を交え、遊んでみました。また、”追分”と言う言葉でも、同様の事をしてみました。両方とも、結構個人的には、面白かったので、今回は、”天王山”と言う言葉を、使って遊んでみたいと思います

早速ですが、皆さん、”天王山” って言葉聞いた事がありますよね? 使った事もありますかね? 良く聞くのは、「プロ野球のペナントレースで、リーグ優勝を決めるのに、重要な一戦(=試合)」を指して、天王山なる言葉が用いられると思います。また、ビジネスのシーンでも、上記に記載した、分水嶺的な意味で、使われる事もあると思います。「ここでの(小さいかもしれないが)1つの結果が、今後に大きな影響を与える」と言った、人の意思が、背後に隠れていると言う事と理解しています。

【天王山と日本史の関係:秀吉・光秀の山崎の戦い】

そもそも、なぜ天王山なのか? あえてここで記載する必要もないと思いますが、ある歴史上の出来事が、ベースになっている様です。

はい。山崎の合戦ですね!

山崎の合戦とは?

本能寺の変で、明智光秀が、主君、織田信長を討ち、自身の天下を固めようとする中、羽柴秀吉が、備中高松城で毛利軍と戦っており、水攻め真っ最中にも関わらず、早々にケリをつけ、中国大返しと言われる進軍を行い、本能寺の変から11日後には、山崎の地で、明智軍と対峙・撃破し、秀吉の天下に大きく躍進する契機となった戦い

この山崎の地は、京都から、南西に10-15Km位の位置にある地で、あの有名な会社の蒸留所がある事でも有名ですよね。ここに、標高、2-300m程度の山、天王山がある訳ですが、これを、地形図と歴史的観点で考えてみると、この言葉の意味や使うべきシーン・ポイントと言った物が、より鮮明にイメージできると思います。

【山崎の戦いにおける考察:天王山を抑えたのは?】

山崎の戦いの概要を復習しましたので、この戦に関し、地形図や戦略を踏まえ、今少し深堀してみたいと思います。

恐らく、この地を戦場に選んだのは、明智軍だと思います地形図を見て頂いた通り、この地は、中国地方からくる、大軍勢の秀吉軍を迎え撃つには、絶好の場所だからです。と言うか、この場所しかないと思います

理由は、この場所が「隘路」で、4万とも言われる秀吉軍を、1.5万程度の明智軍が迎え撃つには、地の利を活かし、隘路で、敵軍に蓋をして、大軍のメリットをなくすしか、方法はない為です。南には、桂川・宇治川・木津川が合流し、北は天王山で、大軍の進軍には、この狭い場所を抜けないと、京都にはたどり着かない。数に劣る明智軍が、唯一勝てる可能性がある地が、この場所だと思います

しかし、ここには、条件が入ります。天王山ですね! 地図を見ると270mの標高で、さして高い山とは思えないかもしれませんが、この高低差が、重要なんですよね。中国の軍記の古典、「孫子」でもある様に、”兵は高きを好み、低きを嫌う” と言ったメッセージがある様に、高い所に布陣できれば、敵軍の状況も見えますし、鉄砲等飛び道具の威力も増します。敵軍が、頭上から攻撃の準備をしているところに、攻めていきたくないですし、通りたくもないですよね。

つまりこの隘路、「天王山を抑える事で、初めて明智軍に大きなプラスをもたらしてくれる場所」と言う事になります。しかしそこは、秀吉。同じことを恐らく考えたでしょうし、逆に天王山を抑える事で、この戦いを手中におさめる事が出来ると思ったはずです。結果、秀吉方の先発隊が、この場所を先に抑え、「勝負あった」と言う事だと理解しています

【最後に:天王山を抑えることが、真に天王山】

戦その物は、皆さんご承知の通りで、秀吉軍の圧勝。兵の数に勝り、隘路のデメリットを受けない状況まで持っていかれては、明智軍は、なすすべなかったと推察できます。その後、これも皆さんご承知の通り、秀吉は天下人への階段を一気に登って行く事になります。故に、今風に、言ってみると、山崎の戦いに勝利し、天下への道をまい進するために、天王山を抑えることが、真に天王山」と言ったところでしょうか?

上記の通り、天王山は、秀吉の天下取りの為に、重要な局面で、舞台になった地ですがこれを生み出した地形と、歴史的な背景があって、初めて私達が、今使っている言葉の裏に隠された、本当の意味(メッセージ)が込められると言う事と言って良いと思います

こう考えると、私達が、今使っている言葉やフレーズを、地形や歴史の観点で、掘り下げてみる遊びは、改めて面白いと思いましたし、いつも新幹線で、通り過ぎてしまうこの地に赴いてみて、秀吉や光秀がその時どう思ったのか、思いにふけってみたいと思うのでした。皆様も、是非足を運んで、秀吉や光秀の思いを感じてみてはいかがでしょうか?

(地図は、地理院の地図に、自身で標高を設定し作成)

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